優しい『君』とおちていく

「大丈夫?」


と誰かが言ってきた。


「……」


「君の名前は?俺、(ゆう)。」


「……唯愛。」


しょうがないので名前を言う。


「どうしたの?こんなとこにいて。風邪引いちゃうよ?」


「……私っていらない存在なのですかね。」


「え?」


「私はいじめられてて不登校になっちゃって。それで家しか居場所がないのにその場所も奪われて。私っていらないのかな~って。」


「いらなくないと思うよ。」


「えっ?」


何言ってんの?初対面なのに何が分かるの?


「だって俺が今、唯愛に興味持っちゃったし。だから今、俺が必要としているからいらなくないと思う。」


「は?」


「そのまんまだと風邪引くからシャワー浴びてく?家近いし。」


「じゃあお言葉に甘えて。」


そして優くんの家に行った。


「お邪魔します……」


「着替え置いとくから入ってていいよ。」


「分かりました。」


と言って洗面所に向かう。


「唯愛って何歳?」


「16歳の高1です。」


「俺16の高2。学年違うけどタメでいいよ。」


「分かった。じゃあ行くね。」


「は~い。」


と言って優くんが出ていくのを見守ってからお風呂に入った。


「何で俺、こんな可愛い子を家に入れちゃったんだろう……」


優くんがこんなことを言っているのも知らずに───
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