優しい『君』とおちていく
「もうすぐ学校、夏休みじゃない?」
確かに。
「海行きたい。」
夏といえばみたいな。
「いいよ~。ってかそれより、唯愛の『好き』って言葉が聞きたいんだけど。」
そういえば言ってなかった。
「……好き、だよ。」
「っ……」
?
「七瀬?」
急に固まって、どうしたんだろう?
そしたらぎゅっ……、と抱きついてきた。
「えっ、ちょっ、七瀬……?」
「キスしていい?」
「ちょっ、ちょっと、待って!私、七瀬から『好き』って言われてない!」
キス……とか心の準備がいるし。
「言ったらキスしていい?」
って言うから絶対確信犯。
仕方なく……といった感じに首を縦に振る。
「唯愛……、好き。」
そんな切なそうに言われたら。
胸がぎゅっ……、って感じになる。
ふっ、と暗くなって、私の唇と七瀬の唇が触れた。
触れたのは一瞬。
でも七瀬の体温が伝染していって……
どんどん私の体を支配した。