優しい『君』とおちていく
「あのさ七瀬、竹くんのこと、」
「うん、謝りに行く。」
「私から言ってあげようか?」
「ううん、俺自身の問題だから。……ちゃんと俺から言う。」
強い決心。
人殺しをしてないのに濡れ衣を着せちゃったから許してくれるか分からないけど、と諦めかけたように笑う。
「そんなことないよ。」
竹くんは優しいから、七瀬に負けないくらいに。
きっと、いや絶対許してくれる。
「例え、そうじゃなくても、許してもらえるように頑張る。」
すごいなぁって思う。
自分の非を認めて謝罪するという、できない人にはできないことを『君』はしようとしてる。
私に何が出来る……?
「七瀬、頑張って!」
私は待っていよう。
「ありがと。……あのさ、住所知ってる?」
「…一応知ってるけど、歩いてじゃないといけない。」
1回だけ、竹くんの家に行ったことがあって、そのとき歩いて行ったから。
「…そこまで一緒に来てくれない?」
帰りも分からないからちょっと待ってほしいんだけど、って。
そんなの、いいに決まってるじゃん。
「全然大丈夫!てか私がついて行きたかった!」
「ありがと。……じゃあ行こっか。」
と2人で歩いていった。