料理男子、恋をする
*
佳亮は望月家の道場に居た。道着は貸して貰った。目の前には見上げる身長の望月が居て、この体格差で真面目に道場に立っているのがおかしいんじゃないかと思う程、望月は真剣な顔だ。勝負云々は冗談じゃなかった。
「おかしいですよね!? そこに飾られてる表彰状とトロフィー、貴方のものやないですか! 県大会優勝とか、全国大会の賞状とかもろてる人が、素人相手に本気ですか!?」
泣き笑い気味の佳亮に対して、望月は真剣だ。
「彼女に相応しいよう、常に鍛錬してきた。勝負はこれしかない」
そう言って佳亮の襟をつかむ。即座に内股を掛けられて、佳亮の身体が宙に舞い、畳の上に落ちた。
「うっ!」
どすん、という音と共に背骨に痛みが走る。しかし望月の投げ方が良いので、怪我にはならない。
「受け身くらい取れるだろう!」
「出来るわけないですよね!? 高校の時以来ですよ!」
佳亮が叫んで訴えても望月の手は緩まない。何度も技を掛けられて、その度ごとに、ドスンバタンと佳亮の身体が何度も畳に落ちた。普段まともに体を動かさない佳亮は既にヘロヘロだ。
(こんなことになるんやったら、紅葉狩りの後からジムに通ってればよかった!)
内心思ってももう遅い。望月が背負い投げを掛けて佳亮が綺麗に宙に舞った時。
「佑さん、もうやめて!」
バタン、と佳亮の身体が畳に落ちたところへ、薫子が割って入ってきた。
佳亮は望月家の道場に居た。道着は貸して貰った。目の前には見上げる身長の望月が居て、この体格差で真面目に道場に立っているのがおかしいんじゃないかと思う程、望月は真剣な顔だ。勝負云々は冗談じゃなかった。
「おかしいですよね!? そこに飾られてる表彰状とトロフィー、貴方のものやないですか! 県大会優勝とか、全国大会の賞状とかもろてる人が、素人相手に本気ですか!?」
泣き笑い気味の佳亮に対して、望月は真剣だ。
「彼女に相応しいよう、常に鍛錬してきた。勝負はこれしかない」
そう言って佳亮の襟をつかむ。即座に内股を掛けられて、佳亮の身体が宙に舞い、畳の上に落ちた。
「うっ!」
どすん、という音と共に背骨に痛みが走る。しかし望月の投げ方が良いので、怪我にはならない。
「受け身くらい取れるだろう!」
「出来るわけないですよね!? 高校の時以来ですよ!」
佳亮が叫んで訴えても望月の手は緩まない。何度も技を掛けられて、その度ごとに、ドスンバタンと佳亮の身体が何度も畳に落ちた。普段まともに体を動かさない佳亮は既にヘロヘロだ。
(こんなことになるんやったら、紅葉狩りの後からジムに通ってればよかった!)
内心思ってももう遅い。望月が背負い投げを掛けて佳亮が綺麗に宙に舞った時。
「佑さん、もうやめて!」
バタン、と佳亮の身体が畳に落ちたところへ、薫子が割って入ってきた。