料理男子、恋をする
*
「楽しめましたか?」
帰り道に佳亮は薫子に尋ねた。急に見知らぬ人の家に招かれて緊張していたから、心配だった。
「うん、楽しめたわ。私、家を出てから会社の人としか交友がなかったから、新しい知り合いが出来て嬉しい」
「そうですか。なら良かった」
微笑み返してくれる薫子にそう言う。
「…私も何時か…、佳亮くんのご両親に、お料理振舞わなきゃいけないのかしら…」
並んで歩く道すがら、薫子がそんなことを呟くので、気にしないで、と言った。
「まだ先のことなので心配要りませんが、両親は僕のことよく分かってますし、薫子さんのこともきっと良く分かってくれます」
「そうだと良いけど…」
料理の腕は、どうしたって佳亮のほうが上だから、其処は両親を納得させるつもりだ。薫子に無理強いをするつもりもないし、薫子の為に料理を作れるなら嬉しいだけだから困ることはない。
「それより、僕のほうが問題ですよ」
「なにが?」
薫子がきょとんとして言うから、佳亮はちょっとため息が出てしまう。
「あんなお屋敷に住んではる薫子さんのご両親に、僕が受け入れてもらえるかどうかの方ですよ」
ううーん。以前話した両親の反応を思い出して、薫子が唸った。
「大問題だなあ…」
肩を落とす佳亮を薫子が励ます。
「私も両親を納得させるわ」
薫子はそう言ってくれたけど、やっぱり大きな問題だった。
「楽しめましたか?」
帰り道に佳亮は薫子に尋ねた。急に見知らぬ人の家に招かれて緊張していたから、心配だった。
「うん、楽しめたわ。私、家を出てから会社の人としか交友がなかったから、新しい知り合いが出来て嬉しい」
「そうですか。なら良かった」
微笑み返してくれる薫子にそう言う。
「…私も何時か…、佳亮くんのご両親に、お料理振舞わなきゃいけないのかしら…」
並んで歩く道すがら、薫子がそんなことを呟くので、気にしないで、と言った。
「まだ先のことなので心配要りませんが、両親は僕のことよく分かってますし、薫子さんのこともきっと良く分かってくれます」
「そうだと良いけど…」
料理の腕は、どうしたって佳亮のほうが上だから、其処は両親を納得させるつもりだ。薫子に無理強いをするつもりもないし、薫子の為に料理を作れるなら嬉しいだけだから困ることはない。
「それより、僕のほうが問題ですよ」
「なにが?」
薫子がきょとんとして言うから、佳亮はちょっとため息が出てしまう。
「あんなお屋敷に住んではる薫子さんのご両親に、僕が受け入れてもらえるかどうかの方ですよ」
ううーん。以前話した両親の反応を思い出して、薫子が唸った。
「大問題だなあ…」
肩を落とす佳亮を薫子が励ます。
「私も両親を納得させるわ」
薫子はそう言ってくれたけど、やっぱり大きな問題だった。