料理男子、恋をする

クリスマス会


十二月に入って、佳亮の職場ではいよいよ年末に向けて活気づいてきた。やれ忘年会だ、クリスマス会だと、中田原たちは忙しい。男同士の忘年会には二度参加したが、相変わらず女性が参加するクリスマス会などは参加しないので、懐の痛み具合も少なくてすんでいた。

「杉山くん、クリスマス会に参加しない?」

そんな中、佳亮をクリスマス会に誘ってきたのは織畑だった。彼女もイベントごとが好きで、花見やキャンプなど、職場の有志を集めて楽しんでいる。

「織畑さん…。僕は言ったように、女性が参加する集まりには…」

「杉山くんは参加したことないから知らないだろうけど、うちの催しは外部の人間連れて来ても良いのよ。私も今回、佐倉くんを連れて行くし、杉山くんが大瀧さんを連れてくるなら、また会えてうれしいわ」

成程、そういう会だったのか。しかし、薫子が行きたがるかどうか分からない。身分としては社長だし、その上実家があのお屋敷では、うちの会社程度のクリスマス会より大事な行事がありそうだ。それでも、もし薫子が前向きなら、この前お酒を一緒に飲めなかったと言っていた薫子と織畑が一緒に飲めるのではないかと思った。

「取り敢えず、薫子さんに聞いてみないと……。でも僕はあまり乗り気ではないので、色よい返事は期待しないでください」

「杉山くんは大瀧さんと結婚は考えてないの? 会社の面子に顔見せしておくと良いわよ」

織畑はそう言うが、まだまだ付き合い始めて日が浅いし、そこまで考えきれないのが本音だ。そう言うと、織畑は腰に手を当てて、駄目よ、杉山くん、と言った。

「年上の女性を待たせるもんじゃないわ。大瀧さんが気にしてたらどうするのよ」

うう~ん、其処を言われると弱い。薫子は来年で二十九になる。結婚を考えてもおかしくない年だ。
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