料理男子、恋をする
「杉山。やっと来たなら、彼女紹介してくんなきゃ」

「自分だけ楽しんでんなよ」

話し掛けられて気付いた佳亮が、ああ、と応じようとすると、それより先に薫子が立ち上がって自己紹介をした。

「大瀧薫子と言います。杉山くんにはいつも親切にしていただいています。ご同僚の方ですか?」

立ち上がった薫子の身長に二人が驚く。佳亮も最初はこの上背から男だと思っていたから仕方ないとはいえ、本人を前にあからさまにびっくりした顔をするのはどうなんだろう。

でも薫子は気にしない様子で微笑んでいた。会話を向けられた二人も薫子に挨拶をする。

「中田原と言います。杉山くんとは入社当時からの付き合いで、時々男連中で飲みに行きます。杉山くんは女性が居る席には参加しないので、安心して良いと思いますよ」

「僕は大阪から来てまだ二年ですけど、杉山くんとはよく話します。長谷川と言います。中田原の言う通り、杉山くんは会社では女っ気がなかったので、どんな方を連れてくるのかって中田原と話してたところです。おきれいな方で杉山くんが羨ましい。うちの会社のクリスマスパーティーは皆さん気さくに参加してくださるので、楽しんで行ってください」

二人の言葉に薫子がありがとうございますと応じる。丁度ロシアンルーレットを始めるという進行役の声が聞こえて、二人は席へ戻って行った。テーブルごとに用意されたショットグラスに赤色の液体が入っている。一つを除いてトマトジュースで、残りの一つはハバネロだ。
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