料理男子、恋をする

「あとでビンゴ大会よ。景品当ててね」

織畑は薫子にそう言って、佐倉のところへ帰って行った。

「そういえば、ビンゴって結婚式の二次会でやって以来だわ。忘年会でもクリスマス会でもやらないから」

「良い景品が当たると良いですね」

やがてゲームとゲームの間の歓談の時間が終わり、ビンゴゲームが始まる。進行役が数字を引いて、皆でカードの数字を折っていく。七回目で最初のビンゴが出て、早いなあと思っていたら九回目で二人目のビンゴが出た。

「何人まで景品あるんだろう」

「なにか当てたいわね」

そう言って数字を折っていくと、佳亮より薫子の方が先にビンゴになった。

席を立って景品を受け取りに行った薫子は、何やらとても大きなものをもらって席に帰って来た。

長方形の大きな包みはゲーム盤ほどの大きさだった。

「なんだろう」

薫子が包みを少し解いて中を覗くと、あっ、と薫子が声を上げてにこりと笑った。

「佳亮くん、良いものをもらっちゃったわ。ホットプレートよ、これ」

「へえ! 結構良い景品用意してるんですね」

初めて参加したから、クリスマス会の内容も、ゲームの景品についても知らなかった。会社の人間が集まって一定規模の催しをする時は半分経費で落ちると聞いていたが、それにしても会費を割と取るなあと思っていたから、きっと先刻の美味しい料理やこういう景品に使っているのだろう。
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