料理男子、恋をする
「これ、活用できる? 佳亮くん」
「これから寒いですし、テーブルの上で焼き立てを食べられるメニューを考えますよ。チゲ鍋繋がりじゃないですけど、チヂミとか」
薫子の家の調理器具は、最初に佳亮が買いそろえて以来増やしていないので、ちょうど良かったと思う。
「確かに、フライパンで一人分ずつ作ってるより熱々を食べられそう。良いのかしら、部外者がこんな良いものを」
「会費がちょっと値が張りましたからね。逆にもらわないと払い損ですよ。持って帰りましょう」
「ちょっと電車で持って帰るには大きいわね。私帰りにタクシーを拾うわ。佳亮くん、一緒に乗って帰りましょ」
家は向かいのマンションだし二人で乗れば安く済む。佳亮も頷いた。
ビンゴ大会は、残念ながら佳亮は上がれなかった。微妙にビンゴにならないカードをゲームの最後まで持ったまま終わってしまった。
「ハバネロには当たっちゃうし、ビンゴは当たらないし、良いことなかったなあ……」
佳亮がため息をつくと薫子が、私ばっかり楽しんでごめんなさい、と笑って言った。まあ、薫子が楽しめたのならそれで良い。気にしないでと伝えると、最後にみんなで集まって記念撮影をした。
パーティーは終わり、各自解散、となった時、佳亮は中田原と長谷川に呼ばれた。薫子に断って店の奥に行こうとすると、薫子が先にタクシーを探しておくと言った。
「酔っ払いも多いと思うので、気を付けてくださいね」
「大丈夫よ。お話終わったら出て来てね」
そう言って薫子は店から出て行った。