料理男子、恋をする
二人のクリスマス
「折角のクリスマスやのに、雰囲気台無しですみません」
クリスマスイブの夜、佳亮は何時も通り薫子の家を訪れていた。スーパーで買ってきた材料を部屋の冷蔵庫に入れると、佳亮は薫子がクリスマスパーティーで当てたホットプレートをテーブルに出した。
薫子の部屋のテーブルは二人分のお皿とお茶碗と小鉢を並べるだけで精いっぱいの小さなもので、だからホットプレートはかなり場所をとる。取り分けるお皿などはお盆に乗せてラグの上に置いた。
薫子は目の前で展開される料理が出来上がっていく様を、目を輝かせてみていた。
「チーズが溶けましたから、もうええと思いますよ」
「家でチーズタッカルビが食べられるなんて嬉しい!」
薫子は早速取り分け皿に鶏肉をチーズに絡めて口に運んだ。
「うん! 美味しいわ! ビールがまた合うわね~、進んじゃう」
「今日はほどほどにしておかないと。明日も仕事があることですし」
「うん、でももう一本だけ!」
ぷしゅ、と音をさせてプルを開ける薫子は幸せそうだ。食事を作りに行くと朝に連絡をしておいただけあって、お腹を空かせていてくれたらしい。二人分のチーズタッカルビはあっという間になくなった。
「ヤバいわね、ホットプレート。これはもしかして、後片付けも簡単なんじゃない? ほら、取り皿だけよ?」
「そうですね。それもホットプレートの良いところです」
佳亮は食べ終わった食器とホットプレートを片付けると、冷蔵庫からケーキを取り出した。クリスマスだしと思って、一応だ。