春子先輩と僕。
*
「ほんっとごめん!!!」
目の前には両手を合わせて頭を下げる遼。
ーー笹本遼。これがコイツの名前。つまり…
「さっきの俺の妹!!!」
…最悪。
「じゃあ言っといてよ。俺には春子先輩だけだから無理って。」
「無理だよ!!!言ったもん俺。なのに聞かねーんだもん。」
使えねーな。
「おい今、使えねーとか思っただろ!!!」
地味にわかってるとこむかつく。
「お前の妹だからって言ってちょこちょこ付いてきそうで嫌なんだけど」
「…」
無言=肯定、でしょ。最悪。
「ちゃんと牽制しといてよね、頼むから。俺は他の子に構ってる余裕なんてないの。」
ただでさえ春子先輩のことで悩んでるのに。
「は、お前何か悩んでんの?先輩のことで。気を付けろよ、悩みあるとつけ込まれるぞ」
気を付けろよじゃねーよ。お前の妹だろ。
「別に。春子先輩と俺の思いの差について悩んでるだけ。俺の方が愛重いから大丈夫」
「自分でそういうこと言うよな、凪って。…てかお前の方が愛重いとかありえないと思う。」
最後の方何言ってるか全然聞こえないし。
「何?」
「何でもねーよ、ただ、心配しすぎだよ多分。」
何かむかつくけど遼ってこういうとこ面倒見いいっていうか。何か優しいんだよね。
うわ、なんで僕遼のこと褒めてんの、気持ち悪。