最後の悪夢



なにが起こったのかさえ分からない一瞬の刹那、目の前の、この人の沢山いる繁華街に、一台の車が猛スピードで突っ込んできた。


人の体は簡単に吹き飛ばされることを知っていた。

たとえば傘を振り回して当たった衝撃で骨も折れるし、あの柔らかな水の上に落ちたとしても高さがあれば死ぬ。


跳ねられて、ひかれて、骨を粉々にされて頭から血を流し、腕や足は骨折してありえない方向に曲がる。

血はどろどろと地面に流れ、割れた車のフロントガラスにもこべりついていた。


悲鳴と驚愕の叫びが混在する。
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