最後の悪夢
「気ぃつけてね。なにかあったら呼んで」
先に沈黙を破ったのは凛上だった。
優しかった。私はなんだか勿体ないことをしたなあ、と思った。同時にあることを思い出した。
──頼まれたからにはさ、そばに置いとけるように努力するよ。
前に凛上がそんなことを言っていた。そばに置いてって私が頼んだんだよ。でも凛上、もう覚えてないのかな。
それが分かった途端に悲しくなってしまった。頭がくらくらしてきた。
もう、私は勇気もないし、凛上のこと追いかけていても、こんなのだから、側にいて迷惑だと思われていそう。
「そっちこそ……。ありがとう。じゃあね」
彼の前からいなくなりたい。
そしたら私のことちょっとは考えてくれる?