最後の悪夢

旭は俺から離れたところに立っていた。貝殻やガラスの破片で足を切らないように、靴を履いて走ることに。


波が俺の左側で、寄せては引いていく。
静かな澄んだ空気。潮風の匂い。どこまでも続く青空。

腰を落とすと、両手の三本の指を砂の上に下ろす。柔らかい温もりに触れる。前に体重をかける。両手と左足の間の三角。クラウチングスタート。


50メートル先。
旭が待ってる。



集中して、息を吐いた。

次の瞬間俺は、飛び出すように大きく前へ出て、走り出した。
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