最後の悪夢
二、鬼ごっこ
──
こういう時の私は、本当に弱かった。
自分に酔っていると、ろくなことがない。
体育は私の成績で唯一「4」のつく苦手今教科。
今、ほんの数メートル先に黒いフードを被った鬼が現れて、腰を抜かしている私は、本当に本当に馬鹿なのだ。
地面に腰を落としたら、鬼はこちらに向かってきた。叫び逃げ回る生徒。
それもそのはず。
鬼の手には、窓の外の夕焼けを反射する銀色の、鋭いナイフが握られているのだ。