最後の悪夢

すると、ドアの奥を黒いかげが走っていくのが見えて、「ひ」と思わず声が漏れた。


廊下を走って逃げていった生徒を見つけたのかもしれない。私より先に鬼の視界に映ったのかも。そしてそのまま追いかけていったのだ。

他の生徒には申し訳ないことをした。


確かにそれは鬼だった。
今度はドアを挟んだほんの数十センチ先。


心臓が、早鐘を打っている。
頭の回転が早くて良かった。死ぬかと、思った。


「う……」


気づけば涙が流れていた。

怖くて怖くて、自分で自分の肩を抱いた。なんで、こんなことになったのか。
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