最後の悪夢
なにも考えたくない。
苦しい……!
流れてくる涙を拭う。
ポッケに入れた彫刻刀がきらりと光る。これで、私、人のこと刺したりするんだろうか。
怖い。怖い怖い怖い。
私、なにも悪いことしていないのに。
成績だって優秀だ。今までいい子だった。なんでもできるはずだった。
でもできないことだってあったよ。
私がどんな人なのか、このデスゲームみたいな合宿でバレるのか。そんなの、もう、ただの地獄。……悪夢。
心のなかで散々文句を言い散らかして、思う。
他の人のことなんか構っている場合じゃないのに、今物凄く誰かに会いたいんだ。