最後の悪夢

なにも考えたくない。

苦しい……!


流れてくる涙を拭う。
ポッケに入れた彫刻刀がきらりと光る。これで、私、人のこと刺したりするんだろうか。

怖い。怖い怖い怖い。

私、なにも悪いことしていないのに。
成績だって優秀だ。今までいい子だった。なんでもできるはずだった。


でもできないことだってあったよ。

私がどんな人なのか、このデスゲームみたいな合宿でバレるのか。そんなの、もう、ただの地獄。……悪夢。


心のなかで散々文句を言い散らかして、思う。

他の人のことなんか構っている場合じゃないのに、今物凄く誰かに会いたいんだ。

< 51 / 456 >

この作品をシェア

pagetop