【番】小動物な後輩君の愛が深すぎる
「────さん……清花さん、起きて」
「ん……? 何?」
「ラグ先輩から電話きてましたよ?」
うっすら目を開けると、透瑠くんが私の顔を覗き込んでいた。
菫から電話……?
あくびしながら体を起こし、スマホを確認する。
あ、本当だ。
さっき返信したからかけてきたのかな?
「かけ直したらどうですか? 急用かもしれないし」
「いや、大丈夫。帰ってからかけ直すよ」
スマホをバッグの中に入れ、ぐぐっと腕を伸ばした。
今ここで電話したら、動画のことがバレてしまう。
そしたら拗ねて、また部屋出ていっちゃうかもしれないし。
「っていうか、不在着信になってないんだけど。もしかして出た?」
「はい」
え、嘘……っ、もしかしてバレた……⁉
「一応起こそうとしたんですけど、起きなかったので切りました」
「そう……良かった」
「ん? 何が良かったんですか?」
あ、しまった。
もう、何やってんだ。
安心したからって口滑らせすぎだ。
「その……からかわれると思ったから」
「あぁなるほど。俺だけでもめっちゃからかってきましたよ。『デートしてるんだ~♡ ヒューヒュー♡』って」
菫め……後で余計なこと言ってないか問い詰めよう。