【番】小動物な後輩君の愛が深すぎる

清花side

「はーい。お願いしまーす」



返事をして電話を切った。

渋滞してて帰りが遅くなるかもだって。
実は急いで来たもんだから、カギ持っていくの忘れちゃったんだよね……。

そのことを伝えたら、直接透瑠くん家に迎えに来てもらうことになった。


部屋に戻り、ベッドに腰かけてスマホをいじっている透瑠くんに許可を取る。



「あのさ、図々しいお願いなんだけど、お母さんが迎えに来るまで、ここにいてもいい? 家のカギ忘れちゃったから、帰っても家に入れなくて」

「いいですよ」

「ありがとう!」



了承してくれたのが嬉しくて、空いている腕に横から抱きついた。

視線はスマホに向いているけれど、口元が緩んでいる。

フフフ、照れてる。可愛い。


そのままギュッと抱きついていると、突然スマホの画面に自分の顔が映った。



「撮るよー、はいチーズ」

「えっ、ちょっ、と」



言葉を交わす間もなく、表情を整える暇もなく。
カシャッとシャッターが切られた。



「清花さんからくっついてくるの、珍しいですね」



画面には、微笑んでいる透瑠くんと、間抜けな顔をした自分の姿が映っている。
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