赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「ええと……悪いのは血液結果のみで、他の項目は異常なし。Fと診断されてからも、特に大きな病気もしてないんでしたよね」
「はい……」
……多分、難しい顔の原因は、血液結果が悪いのにも関わらず、私がピンピンしていること。
評価が落ちるのならば、他の項目にも影響が出るはず。
なのに、評価は下がることはなく、ずっと異常なしを保っている。
「でしたら、中2の時に血液に悪影響が出るようなことが起こった。という答えにたどり着きますが……何か心当たりはありますか?」
その瞬間、ドクンと大きく心臓が音を立てた。
「心当たり……ですか?」
「はい。例えば、大きなケガをしたとか。この時期でしたら、覚醒した同級生に吸血させた、あるいは、吸血により貧血になって輸血したとか」
「うっ」
ピンポイントでツッコまれて、のどから変な声が出た。
吸血はさせてないし、輸血もしてなければ、大きなケガもしていない。
だけど……何もなかったわけではない。