赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「……あの、血液とは関係ないことなんですけど……いいですか?」
「はいもちろん。無理のない範囲でいいので話してもらえませんか? もしかしたら、解決のヒントになるかもしれないので」
先ほどの険しい顔とは打って変わった、穏やかで優しい微笑み。
話そうか迷ったけど、解決策が見つかるかもしれないのなら……。
「実は…………中2の頃、友達とギクシャクしちゃって、和解できずにそのまま別れてしまったんです」
柚季ちゃんにも、千冬にも、潤くんにも家族にも、誰にも言えなかった。
今思い出しただけでも情景が浮かんできて、当時の感情が込み上げてくる。
「そうでしたか……。その友達というのは、他の友達とは少し違うというか、親友のような人とかですか?」
「はい……幼なじみなんです」
千冬と同じく、幼稚園の頃からずっと一緒に過ごしてきた翼。
子どもの頃の姿だけど、勉強会の時に久々に写真越しで翼の顔を見た時、当時の記憶がよみがえってきた。