赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「それではまた来週伺いますね。お疲れ様でした」
「お疲れ様でした。ありがとうございました」
下駄箱で先輩と別れた後、潤くんに連絡しようとバッグからスマホを取り出した。
あれ? 不在着信? メッセージも届いてる。
電話のアイコンをタップすると、30分前に潤くんから着信が3件来ていた。
なんだろう? 急用かな?
首を傾げつつメッセージアプリを開く。
【ごめん風花。さっきおばあちゃんから電話がかかってきて、おじいちゃんが腰を痛めたみたいだから先に帰るね。吸血は明日にする】
画面には、絵文字なしのシンプルな文と、ごめんねと謝っている動物のスタンプが。
吸血終わりに話をしようかなと思ってたけど……おばあちゃんだけだとお世話が大変だし、仕方ないか。
それならしばらくの間、放課後はあまり時間が取れなくなるかも。
来週……は、テスト前の週に入るから、終わってから話そうかな。説明不足で変な心配かけたくないし。
おじいちゃんの腰が無事でありますようにと願いながら帰路に就いた。