赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
深々と頭を下げ合い、いよいよ雑談会が始まった。
「まずは学校らしく、教科から。僕は理科が好きです。特に生物が好きですね。小さい頃は友達とよく虫捕りしてました」
口角を上げて嬉しそうに話す先輩に、「へぇ〜」と笑顔を作って相槌を打つ。
理科かぁ。千冬と潤くんが好きなジャンルだ。
友人2人の顔が思い浮かんで頬が緩んだけれど……私、虫苦手なんだよね……。
うーん、どう返そう。
「何の虫が好きなんですか?」
「そうですねぇ、どれも好きなので選びづらいですが、これからの季節だとカブトムシですかね。夏休みの自由研究で昆虫標本を作ったこともあります」
「へ、へぇ……すごいですね……」
他にも、虫や魚を繁殖させて育てたり、動物や人間の生態について調べたりしたそうで。
過去に何度も優秀作品に選ばれたんだと。
昔から頭良かったんだなぁ。
多趣味な先輩に対して、読書しか趣味がなかった私。
何もかも違いすぎて、リラックスするどころか、恐れ多くて緊張してきちゃった……。