赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「……あ、すみません。もしかして、虫苦手でしたか?」
「うえっ⁉」
反応が悪いと気づいた先輩が眉尻を下げて顔色をうかがってきた。
あぁ恥ずかしい。また変な声出ちゃったよ……。
「はい……少し」
「それは大変失礼しました。話変えますね」
「……すみません」
正直に答えるも、気を遣わせてしまったのが申し訳なくて、顔を直視できずに俯く。
せっかく楽しく話してたのに邪魔しちゃった……。
笑顔で話してたつもりだったんだけど、見破られたってことは引きつってたのかな。
さすが未来のお医者さん。鋭い。
これは嘘とか隠し事はできなさそうだ。
「雨村さんは何の教科が好きですか?」
「国語系です。昔から本を読むのが好きで、新しい教科書をもらった時は1日中読んでました」
「わかります。つい夢中になっちゃいますよね」
「ですよね! 私、毎回テスト範囲のページを丸暗記してるんですよ」
「わぁ、それは羨ましいなぁ」