赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
興味津々で話に耳を傾けている先輩。
話す内容が少なくて心配だったけど、楽しんでくれているみたいで良かった。
昼休み終了5分前のチャイムが鳴り、沢村先輩と一緒に図書室を後にする。
「私、理数系が苦手なんですよね。特に物理が苦手です」
「あー、確かに複雑ですよね。担当の先生って誰ですか?」
「大上先生です。丁寧に教えてくれるんですけど、私にはちょっと難しくて。ノートを取るだけで精一杯です」
「あはは。僕も大上先生の授業受けたことありますよ。すごく丁寧ですよね」
苦手な教科の話で盛り上がる。
大体の人は、何かしら1つは苦手教科があるはずだけど、先輩は特にないとのこと。
頭もいい上に、運動も人並みにできるらしい。
文武両道で、家柄も人柄も良くて、おまけに見た目もいいって……完璧すぎない? 校内で有名になるのも納得だ。
血液結果のことで頭がいっぱいだったから全然知らなかったよ。