赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


少し険しい表情で、傷口からじんわり出てきた血を舐め取っている。

もちろん、吸血鬼じゃないので消えず。


あらま、それは残念だ。
ヒリヒリ痛むのに、次の休み時間まで待たないといけないのは地味につらい。


気の毒だなぁと眺めていると、ふと疑問がよぎった。


もし傷口を舐めてもらったら、千冬も私と同じ反応をするのかな……?


以前治してもらった時、身体中に電気が走ったみたいにビリビリしていた。

少し驚いたけど、別に嫌だとは思わなかった。痛みも全くなかったし。


今思うと、あの感覚は初めて吸血された時とちょっと似てるかも。


痛み、恐怖、ドキドキで頭の中がめちゃくちゃだったのに、不思議と気持ちよくて。脳内が揺れていた。


うーん、なんて言えばいいかな。

ストレッチする時に感じる、痛気持ちいい感覚、みたいな?

でも、頭クラクラはしないもんな……。



「それで、風花はなんでここにいるの?」

「へぇっ⁉」



いきなり尋ねられて、またも変な声が出た。
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