赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


黙々と勉強すること2時間。
スマホのアラームが鳴り、休憩時間の午後3時に。



「ちょっとトイレ行ってくる」

「はいよー」

「いってらっしゃ〜い」



凝り固まった体をぐーっと伸ばしながら潤くんを見送った。

よし、次の教科の準備でもしますか。



「あのさ、昨日の話だけど……沢村先輩と何してたの?」



突然質問を投げかけられ、教科書を片づける手が止まった。



「おーい、聞いてるー?」



どうしよう。勉強会のことで頭がいっぱいで、まだ答えを考えてなかった。


えっと、何から話そう。

千冬は私が通院してるのは知ってるから、病院のことから説明する?

でも今日は潤くんもいるからな……。
帰ってきたら「何の話?」って絶対ツッコまれるよね……。



「先輩と面識なかったよな? いつの間に仲良くなったの?」

「まぁ……」



男子恐怖症はどこにいった?
そう言わんばかりに、千冬は隣に座って顔を覗き込んできた。

ううっ、もう顔に「教えなさい」って書いてある……。
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