赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
ドキドキしているのがバレないよう、静かに呼吸を整える。
毎回思うけど、本当、落ち着いてるよね。
表情も顔色も、吸う前と全然変わってないもん。
吸われている側はこんなにも緊張するのに、吸う側は何も感じないのかな?
「あのさ、無理にとは言わないけど、何か悩み事とか、困ったことがあったら言ってほしい。俺、風花に何かあったら生きていけないから」
最後の言葉に重みを感じ、心に深く突き刺さった。
もし私がいなくなったら、吸血できる相手が減ってしまう。
そうすると血液不足になって、図書室で会った時みたいに餓死寸前に陥る恐れもある。
「わかった……今度から気をつけるね」
もうあんな苦しんでる姿は見たくない。
漆黒の真っ直ぐな瞳と視線を合わせ、1人で抱え込まずに相談すると約束した。
†††
「初めまして。風花の幼なじみの夜城 潤です」
「同じく幼なじみの鳥越 千冬です。今日はいきなりすみません」