赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
満更でもない様子で千冬が笑った。

出会ってまだ数分なのに、もう打ち解けてる。
私も何か話さなきゃ……!



────
──



「話が合うのはわかるけどさぁ、少しくらいは話させてよ」



雑談会が幕を閉じ、通学路を歩きながら口を尖らせる。


男子3人、女子1人という紅一点の中、頑張って会話に参加したものの。

潤くんと千冬が隙も与えないくらいのテンポで話すもんだから、ほとんど話せなかった。


雑談会とはいえ、一応治療なのに。あれじゃただの男子会だよ。



「ごめん。あんな褒められると思わなかったからつい」



薬や成分の勉強をしている先輩からべた褒めされて、頬を緩ませていた千冬。

饒舌になっていたけれど、まだいいほう。

問題は……。



「ごめんね。今度から邪魔しないよう気をつけるよ」

「もー……私の治療なんだから、ちゃんと話に入れてよね」



眉尻を下げて顔を覗き込んできた潤くんにジト目で返す。


放課後に吸血していることを伝えたら、『待たせたら悪いので、夜城くんも一緒にどうですか?』って提案されて。

そしたら、潤くんが間髪を入れずにオッケーしてしまい……。

来週から潤くんも参加することになったのだ。
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