赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


一緒に過ごす時間も増えるから、来てくれるのは嬉しい。


じゃあどうして問題なのかというと…………今日、時々怖い顔をしていたから。


睨んでるわけじゃないんだけど、目に輝きがなかったというか。

好きなジャンルの話なのに、なんとなく目の奥が笑ってないように見えたんだ。



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帰宅してベッドに横たわり、スマホの電話帳に追加された沢村先輩の連絡先を眺める。

週に1回だけど、夏休み中も会うことに決まったため、番号を交換したのだ。



「…………四角関係かぁ」



ぼんやりと眺めていると、柚季ちゃんが口にしていた言葉を思い出した。


四角関係はまずあり得ない。


仮に先輩が私に好意を寄せていたとして、わざわざライバルを招待する?

よっぽど自信家で勝ち気な性格なら可能性はあるかもだけど……まだ知り合って1か月も経ってないし。



「……なんであんな目してたんだろう」



スクロールしていると、潤くんの電話番号が目に止まり、ボソッと呟いた。


みんなの憧れ的存在と共通点を持ってたら、嬉しく感じる人が多そうだけどな。

私も芸能人と好きな食べ物が同じだと知った時は、一気に親近感湧いたもん。


あぁでも、同じだからこそ、自分と比べちゃう人もいるよね。


沢村先輩は全教科得意だけど、潤くんは物理と古典が苦手。

共通点がない私でさえも、住む世界が違うのを目の当たりにして恐れ多くなったし。


レベルの差を感じて落ち込んでた、とかなのかな……?
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