赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「そろそろ3時だし、少し休憩しようか」

「そうだね。うん、そうしよう」



勉強を中断し、飲食スペースで水分補給を行う。


ふぅ、少し頭がスッキリしたかも。

アルファベットでゲシュタルト崩壊起こすなんて……夏バテで疲れてるのかな。



テーブルに突っ伏して目を休ませていると、ツンツンと腕を突っつかれた。



「休んでるところ悪いんだけど……ちょっとだけいい?」

「んー? あぁ、いいよー」



申し訳なさそうに血をおねだりしてきた潤くんに右手を差し出し、再び突っ伏す。

手全体が温もりに包まれると──。



「っ……⁉」



予想していなかった場所に柔らかな感触と痛みが広がり、全身がビクッと揺れた。



「ちょっ……! 指から吸うなら言ってよ!」

「ご、ごめん……」



周りを確認し、振動でずれたテーブルを元に戻す。


ビックリしたぁ……。

もう、潤くんってば、誰もいないから良かったけど、声出ちゃうところだったんだよ⁉

指先は敏感なんだから前もって言ってよ……!
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