赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「味はまぁまぁいいのに、根は真っ黒だな。さんざん同級生達を食った後、突然姿くらまして。しまいには女の子とデート? 調子乗ってんじゃねーよ」
乱暴に言葉を吐き捨てた沙弥香さん。そんな彼女を潤くんは黙ったまま見つめている。
言い方は酷いけれど、全部事実だ。
だけど……。
「潤くんのこと悪く言わないでください! 潤くんは誰よりも優しくて誠実なんです! 真っ黒なんかじゃありません!」
確かに同級生達の血を飲んだ。けど、体に合わなかった。
その中には友達もいたし、お互いに気まずい思いをしただろう。
傍から見たら、マズい血ばかりだから転校したと思われたかもしれない。
でも、潤くんは同級生達の悪口なんて言ってない。むしろ、申し訳なかったって謝ってた。
この数年間、どれだけ悩んで、どんな気持ちで私達のところに来たのか知りもしないで、好き勝手言うなんて……っ!
「何があったのかはわかりませんけど、潤くんに謝ってください!」