赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


チュッと一口吸血されて、赤く染まった瞳と視線がぶつかった。



「嘘……」

「嘘じゃない。甘すぎないからすごく飲みやすいよ。下手したらずっと飲んでたいくらい美味しい」



信じられない。あれだけ酷く吐き捨てられたのに、飲みやすくて美味しいだなんて。


そういえば、一緒に遊びに行った時、吸血鬼にとって致命的な物に出くわしたけど、なんともなかったっけ……。

潤くんの友達が言ってた通り、本当に感覚が狂ってる……。



「千冬のほうが美味しいんじゃないの……?」


「まぁ、美味しいっちゃ美味しいけど、甘くはないかな。多分違うのは、同性よりも異性のほうが甘みを感じやすいからだと思う。

例えるなら、大好物と、食べられるけど特別好きでもない物って感じ」



そうだったんだ。

改めて思い返すと、同性同士で吸血してる人は、学校でも外でもほとんど見かけない。



「さっきの……沙弥香さんよりも……?」

「うん。風花のほうが好きだよ」
< 145 / 316 >

この作品をシェア

pagetop