赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


『それならさ、俺が泊まりに行くよりも、風花をこっちに呼べばいいんじゃない? おじいちゃんもおばあちゃんも喜ぶと思うし』

【そうだけど、『風花ちゃんだけだと気を遣わせちゃうだろうから』って、さっきお義母さんに言われたから……】

『ええっ⁉』



いつの間に話がついていたのかと驚き、電話を切って急いで居間に向かい、祖母に話を聞き出した。

だがしかし──。



『おばあちゃん達も風花ちゃんに会いたいよ。でも……ジジババの吸血シーンなんて見たくないでしょう?』



と、祖母はソファーに座ってのんびりお茶を飲みながら答えた。


おばあちゃんは人間で、おじいちゃんは吸血鬼。

このことを知ったのは、俺が吸血鬼の血を引いていると知った小5の時だった。


風花が家にいたら、そういう場面に出くわしてしまう可能性もなくはない。

実際に自分も、こっちに引っ越した日の夜に鉢合わせてしまったから。

気まずい雰囲気になってしまうのは充分わかる。


だけど……。
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