赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
『だったら、前もって吸血する時間と場所を伝えておけば?』
『そうしたら余計気を遣わせてしまうよ。なに、風花ちゃんと一緒にいるのがそんなに嫌なの?』
『いや、そういうわけじゃ……』
『ならいいじゃない。1日だけだし。ねぇじいさん』
『あぁ。むしろ呼んだらおしゃべりする時間が長くなりそうだからねぇ。勉強の邪魔はしたくないよ』
祖母の隣に座っている祖父も、せんべいをかじりながら頷いている。
そんなの……夏休みはまだ半分以上あるんだから、1日くらい勉強しなくても平気なのに。
風花も、俺と2人きりよりも、おじいちゃんとおばあちゃんがいたほうが楽しいはずだ。
『それに、逆にあなた達の吸血シーンに出くわしてしまうことだってあるかもしれないし。もしそうなったら、私達以上に気まずい思いをさせちゃうわ』
『……わかったよ』
祖母が口にした追加の理由を聞き、渋々承諾した。
風花が大事なのはわかるけど……孫の精神状態も考えてほしかったな。
……理性、保てるかな。