赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


──……という出来事が先週にあり、今に至る。


荷物を和室に置いて、風花がいる2階へ足を運ぶ。


こないだ風花と言い合いしてから、少し気まずい空気が流れてるんだよな。結局あの後、吸血せずに別れちゃったし。

それからも毎日吸血したけれど、あまり目を合わせてくれなかった。


心配だったとはいえ、口を挟みすぎたかなって後悔している。

まだ先輩が悪い人だって決まったわけじゃないのに。



階段を上り、彼女の部屋のドアの前に到着。

おばさんの話だと、まだ寝てるみたいけど……一応、部屋に入る前に電話かけてみるか。


ポケットからスマホを取り出そうとしたその時。


──ガチャッ。



「あっ、おはよう……お邪魔してます」

「…………ええっ⁉」



ドアが開いて、寝ぼけ顔とボサボサの頭が見えたかと思えば、一瞬にしてバタンと閉まった。



「うわぁぁぁ! 来たなら言ってよぉぉ!」

「ごめんっ、今電話しようとしてて……和室にいるから、準備できたら来てっ」
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