赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


ドアの向こうでわめく風花に言い残し、急いで階段を下りる。


危なかった……。

はだけたパジャマから見えた白い肌、ショートパンツから伸びるスラッとした脚。

ぼんやりした虚ろな目とノーセットの髪の毛という無防備な姿に、理性が激しく揺さぶられた。


はぁ……本当、朝から心臓に悪すぎる。

まだ吸血できてないのに……この調子で1日もつか心配だ。


和室で心を落ち着かせること20分。



「お待たせしました……」



部屋着に着替えた風花が、襖の隙間からこっそり顔を覗かせた。


ボサボサだった髪の毛は綺麗に後ろで1つにまとめられていて、着崩れていたパジャマもTシャツとハーフパンツに変わっている。


先程より露出が抑えられて胸を撫で下ろした。しかし、それでもオフモード。

今まで部屋着姿は何度も見てきたのに、今日はいつもに増してドキドキして直視できない。


多分……2人きりだから。だと思う。
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