赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「あいつ確か寮生活してるんだよね。夏休み中だから戻ってきてるかなぁ」



「久しぶりに会いたいね」と言いながら顔を上げてみたら……あれ、なんか暗くない?



「風花? おーい」

「……あっ、ごめん。ボーッとしてた」



いや、ボーッとしてなかったよな……?

さっきまで笑顔だったのに、ものすごく無表情だったぞ……?



「で、何だった?」

「翼と久しぶりに会いたいねって。また4人で遊べたらいいね」

「そう、だね。あ、見て見て! これ修学旅行の写真!」



慌ててページをめくった風花。


今、あからさまに話題を逸らされた気が。

前に一緒にアルバム見た時も、ずっとだんまりだったよな?


もしかして、翼と何かあったのか……?



しばらくすると、1階からお風呂が沸いたことを告げるメロディが流れてきた。

先に入りなよと譲ったのだが、「女子は時間かかるから」と言われたので、お言葉に甘えて先に入らせてもらうことに。


和室に戻り、着替えを持って浴室へ。

ものの20分で済ませた後……。



「風花、お風呂いいよ」
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