赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
──パチッ。
階段を下りる足音で目が覚めた。
腕を伸ばして枕元に置いた時計を手に取る。
真夜中の、午前3時。
熱帯夜ってのもあるけど、やっぱり人様の家だとなかなか眠れないな。
タオルケットを剥いで起き上がり、水分を取りにリビングに向かう。
すると。
「風花……?」
「あ、潤くん」
窓際で夜風に当たっている風花に会った。
トイレしに下りたのかと思ったが、俺と同じく水分補給しに来たらしい。
冷蔵庫から水が入ったペットボトルを取り出し、のどを潤して彼女の元へ向かう。
「暑くて眠れなかったの?」
「それもあるけど、今日はいつもと違って静かだから慣れなくて。潤くんは?」
「俺も。環境が違うからなかなか寝つけなかった」
「わかる! 泊まりに行った時って、なんかザワザワして目冴えちゃうよね」