赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

湧き上がってきた欲を落ち着かせるため、話題を変える。



「あのさ、1つ聞いていい?」

「ん? なになに?」

「翼と何かあった?」

「…………えっ? ごめん、何て言った?」



直球で尋ねるも、ぎこちなく聞き返された。

誤魔化すの下手すぎ。今あからさまに黙り込んだよね? 動揺しまくってるのが見え見えなんだけど。



「さっき翼の話したらすごく暗い顔してたから。ケンカでもしたの?」

「う……まぁ、ね」



やっぱり。俺がいない間に何かあったんだ。

隠し通すのが難しいと感じたのだろうか。
「この際だから……」と黙り込んでいた真相を明かしてきた。


中学時代に翼とギクシャクして以来、全く連絡を取っていないこと。

それがきっかけで男子が苦手になったこと。

カウンセリングで沢村先輩に打ち明けた際、血液結果に影響しているかもしれないと言われ、協力を求めたんだと。

家族にも友達にも、誰にも相談できずに1人で抱え込んでいたらしい。



「そっか……。遊べたらいいねって、無神経なこと言ってごめん」

「いや、謝らないで! 私が黙ってただけだから潤くんは悪くないよ」
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