赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「実は俺、風花が目を覚ました時、千冬とおばさんと一緒に病院に来てたんだ。でも、会うのが怖くて……外で待ってた」
「えっ⁉ そうだったの⁉」
彼を床に座らせ、ここ1週間に起こった話を聞き出す。
吸血後、私が気を失ったのを見てパニックになった潤くん。
慌てて図書室の先生を呼んで、私を外に運び出した。
そのまま保健室に向かっていたら、千冬と鉢合わせちゃって。
事の流れを説明したら、案の定めちゃめちゃ怒られたのだそう。
なんせ、血を大量に吸われて顔面蒼白。
心臓は動いているけど、何度呼んでも全然目を覚まさない。
お互いの両親も呼んで、もうてんやわんやだったらしい。
「俺のせいで事が大きくなってしまったから、『風花には自分から直接謝りたい』って、おじさんとおばさんと千冬に口止めしてたんだ」
話し終えると、潤くんは「本当にごめん」と頭を下げた。
だから千冬、「潤に血をあげた」じゃなくて『吸血鬼に血をあげた』って言ってたんだ。
「そんな! 全然気にしてないから! それより同じ学校だったなんて気づかなかったよ。いつの間にこっちに戻ってきてたの?」