赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


グビグビとジュースを飲んで元気アピール。
したのもつかの間。



「そうですか? ならいいのですが……もし悩んでいることがあるのでしたら、相談に乗りますよ?」



そうだった、この人は観察力がずば抜けてたんだった。


『沢村先輩には気をつけて』


潤くんからの警告が脳内をよぎる。


先週にカフェで雑談会をした時も、買い物中にバッタリ遭遇した時も。

顔を見た途端に思い出してしまって、上手く表情が作れなかった。


沢村先輩も鋭いけど、吸血鬼は人間より何倍も鋭く、危険を予知したり回避するのが得意と言われている。

だから、彼の意見も一理あるのかなと考えてしまったのだ。



「……あの、血液と関係ないことなんですけど、いいですか?」

「はい、もちろん」



疑いの念を抱いている相手に相談をするのは、少々気が引ける。

あまり恋愛に興味なさそうだから、納得できる答えをもらえるかはわからないけれど……一応聞いてみよう。
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