赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「他には……あ、これなんかどうでしょう。けっこう大胆ですよ」
「あー……そうですね」
次に勧められたのは、オフショルダーの白い服。
確かにこれも大人っぽいけど……露出が高いなぁ。丈もおへそが出るくらい短いし。
「せっかくですし、試着してみたらいかがですか?」
「えっ……いやぁ……」
苦笑いを浮かべながら鎖骨を手で押さえる。
どうしよう。服は可愛らしいデザインだけど、試着はちょっと……。
「先輩、その服だと肩が日焼けしちゃいますよ。さっきのシャツのほうがマシです。それに、肌見せするよりも隠してるほうが大人っぽいと思います」
すると、潤くんが差し出されていた服を先輩に押し返し、シアーシャツを渡してきた。
表情は穏やかだが、瞳はメラメラ燃えている。
これは……効いているのかな?
うーん、でも妬いているというより、声色からすると怒っているような気もするなぁ。
にも関わらず、先輩は不気味なくらいに口角を上げている。