赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「あと、風花はおっちょこちょいなので、ケガから肌を守るためにも、普段から露出が低い服を着てるんですよ」
「あらら、それは大変失礼いたしました」
「あっ、いえ……」
律儀に頭を下げられて、ちょこっと気まずい空気が流れた。
潤くん、助けてくれて嬉しかったけど……前半の情報、言わなくても良かったんじゃない?
別に隠してたわけじゃないけどさ、ここで言わないでほしかったな。恥ずかしくて先輩と顔合わせられないって。
婦人服売り場を後にした私達は、向かい側にある雑貨屋さんに入った。
キャラクターグッズや便利グッズなどを見て回り、店内端っこの香り物コーナーへ。
「夜城くん、外で待ってますか?」
「いえ、そこまできつくないので大丈夫です」
顔色をうかがってきた沢村先輩に、にこやかに返答した潤くん。
これはわざと追い出そうとしているのではなく、心配による気遣い。
様々な匂いが漂っているこの場所は、嗅覚が敏感な吸血鬼には刺激が強く、体調を崩してしまう恐れがあるからだ。