赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

「高2になるタイミングで戻ってきたんだ。でも、親は仕事があって引っ越せなかったから、今はおじいちゃんとおばあちゃんの家に住んでる」

「えっ、じゃあおじさんとおばさん、帰っちゃうの?」

「うん。今日はもう遅いからこっちに泊まるみたいだけど、明日始発で帰るんだって」



謝罪のために長時間かけて来てくれたのに、なんですぐ思い出せなかったんだ。

丸10年顔を合わせてなかったとはいえ、申し訳なさすぎる……。


下にいる潤くんの両親に謝罪の念を送った。



「そうなんだ。でも、なんでこのタイミングで戻ってきたの? しかも単身で。前の学校で何かあったの?」

「それは…………」



気まずそうに顔を逸らした潤くん。

横顔も綺麗だなぁと見惚れつつ、妙なタイミングで転校してきた理由が知りたくて、漆黒の美しい瞳をじっと見つめる。


すると──。




「……俺、風花の血じゃなきゃダメみたいなんだ」
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