赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「雨村さん、精油は使ったことありますか?」

「精油? って、何ですか?」

「自然素材のアロマオイルのような物です。色んな香りがありますし、リラックス効果もあるのでオススメですよ」



先輩から茶色の小さな瓶を受け取り、手のひらで仰いで香りを確認する。

これはヒノキの香りらしい。



「優しい香りですね。先輩は何を使ってるんですか?」

「ヒノキやラベンダーをよく使っていますが、最近はレモングラスですね。夜寝る前に使うことが多いです」

「わぁ、いいですね。癒やされながら眠れそう」



リラックス効果があるのなら、ストレスも緩和して心も落ち着きそう。買ってみようかな。

と思って手に取ってみたのだが、値段が軽く1000円を越えていたのでそっと棚に戻した。


あんな小さな瓶にちょっとしか入ってないのに……。

お金持ちの人は趣味もレベルが高いんだなぁ。



「潤くん、気分は大丈夫? 気持ち悪くない?」

「大丈夫。むしろこのコーナーは気分がいいよ」
< 180 / 316 >

この作品をシェア

pagetop