赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「風花、ちょっといい?」
「えっ」
突然潤くんが現れ、握られている側の腕を掴まれた。
ニマニマ笑っている先輩に頭を下げて、彼と一緒にお店を後に。
数店舗先のゲームセンターにやってきた。
「いきなり連れ出してごめんね」
「ううん……」
心臓がバックンバックン鳴り始め、冷や汗が流れる。
どうしよう、怒らせちゃったかもしれない。
だってここ、プリクラ機の中だもん……!
普段より強く引っ張られたし、きっとこれから問い詰められてお説教されるんじゃ……。
「大丈夫だった?」
「……えっ?」
怒られるのを覚悟していたら、予想と反する優しい言葉が返ってきて、素っ頓狂な声を上げた。
「手握られてたでしょ? 少し震えてたから怖かったのかなと思って。あと、服勧められてた時も困ってるように見えたから大丈夫かな……って、えっ! どうしたの⁉」