赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
慌ててバッグからハンカチを出して、私の目元にそっと当ててくれた潤くん。
申し訳なさと、助けてくれた嬉しさと、怒ってなかったことに安心して涙が出てきてしまった。
「ごめんなさい。怒らせちゃったかなって思ったの……」
「怒らせた……? どういうこと?」
涙声で前回の雑談会で話した内容を説明。
もちろん、恋愛相談のことは伏せて。
自分に対抗心を抱いているみたいだから、仲睦まじい姿を見せて、やきもちを妬かせてみよう。
『こちらから話を振るので、明るく答えるだけでいい』と、事前に話し合ったことも伝えた。
「なんだ、ビックリした。さっきのも作戦だったの?」
「いや、手握られるのは聞いてなかったから……ありがとう」
「そう……まぁでも、落ち着いたみたいだし良かった。それにしても、まさかバレてたなんて……」
口元を覆って横を向いた潤くんの頬が、ほんのり赤く染まっている。
これはもしや、照れてる……?
うわぁぁ初めて見た! ちょっと可愛いかも……。