赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「なら、どうしてここに連れてきたの? 避難なら他の場所でも良かったんじゃ……」
「あぁ、それは、もし捜しに来られたら見つかりにくいだろうなって。あと……小腹が空いたから、飲みたいなと思って」
なるほど。だから人目につかないところにしたのか。
……ちょっと待った。
さっき、ボディクリームを塗っちゃったんだった……。
しかも手の甲と指先だけでなく、肘下にも塗ってしまっている。
「ごめん、さっきクリーム塗っちゃった……。でも、ここなら塗ってないから大丈夫!」
急いでカーディガンを脱いで二の腕を見せた。
けれど、なぜか潤くんは少し戸惑っている。
「いいの? ここ、柔らかいからけっこう痛むと思うけど……」
「そうなの? でもちょっとだけでしょ? 大丈夫!」
「……わかった」
直角に曲げた肘に手が添えられる。
「我慢できなかったらすぐ言ってね」と、気遣う声が聞こえると……。
「うっ……」