赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
「気持ちがこもっていれば、よっぽど変な物じゃない限りは喜んでくれると思います。私だったら、忙しい中会う時間を作ってくれるだけでも嬉しいです。
それに、好きな人となら一緒にいられるだけでも充分幸せなので……」
アドバイス通りに話したものの、急に我に返って声がしぼんでいく。
まだ会って数分の初対面の人に、こんな小っ恥ずかしいことをペラペラと……恥ずかしすぎる……っ。
「答えになってなくてすみません……」
「いえそんな。物を贈ることしか頭になかったので目から鱗が落ちました。ありがとうございます」
つむじが見えるくらい深く頭を下げた新淵さん。
丁寧な言葉遣いと対応、誠実さ、彼女への一途な愛。1個上なのに、既に人間性ができあがっている。
これだけ大切にされてるのなら、長続きするのも納得だ。
「雨村さん、今日はありがとうございました」
「いえいえ。お役に立ったのなら光栄です」
相談会を終えて図書室を後にした私達。
新淵さんに挨拶をして別れた後、その足で沢村先輩と2人で中庭へ。